音場のひとりごと

  

<講座講師と教え方のポイントについて>

もう何百人、多分千人に近い位の講師に出会っている。(一つの講座でも複数の講師が担当するため)

本当にその講座のカラーは講師の個性で決まる。そして、知識や情報とは違った多くの「影響」を受ける。

それは、とても「すばらしい体験」であり、講座受講の醍醐味でもある。

ただ、受講生の立場で「ツライ先生」も少なくない。

眠くなる

段取りが悪い

ある程度のリーダシップがない

教えるテーマに精通していない

わかりやすく教えられない  などなど

「教え方や講座のマネジメント」には最低限の講師業としての知識が必要であると思う。

ここで、いくつかのポイントを

・声は大きく、できるだけマイクを使う(受講生の耳に押し込むつもり)

・その日の講義の流れをあらかじめ提示(受講生が進捗を常に把握できるように)

・ワークショップ形式でない講義形式なら30秒〜1分位の「雑談」を10分に1回、数分の「脱線話」を30分に1回、そして1時間毎に5分程度の小休止(90分講座なら45分に1回の小休止)が必要。(雑談や脱線話の内容は、次に話す講義の前振りとなる内容でも違っていてもOK!しかし、まとめて長時間はNG!アイスクリームのウエハース効果を狙っているため)

であるから、これだけは理解してほしい部分や伝えたいことはあらかじめ絞っておく必要があり、雑談や脱線話もあらかじめ用意がいる。

・テキストを見ながら講義する場合は、ページが移る際は「次のページ」と言わず、毎回ページ番号を伝える。段落が飛ぶ際は毎回「上から*行目」「下から*行目」と伝える。(あらかじめ飛ぶ行には行番を書くなど準備する)

・レジメがあっても、少しはノートをとらせるなどの受講生に作業をさせる。

まだまだ、マイクひとつにしても持ち方があり、黒板やスクリーンの立ち方、配布資料の配り方、当然話し方やジェスチャー、表情にいたるまでたくさんのポイントがある。

であるから、一度は話し方講座やインストラクター講座にも参加される価値はある。

そして、お昼過ぎ受講生が眠くなるのは仕方がない!とあきらめず、「眠くならない方法」に問題意識を持っていただければと思う。

まして、90分講義の20分後にはほとんどの受講生が熟睡してしまう講座の講師は、催眠の講座でない限りなんとかしてほしい。

以前ある講演があり、大学の教授と女優が講師であった。

同じテーマなのだが、大学の教授は原稿を読むがごとく淡々としたものであった。しかし、女優は聴衆を飽きさせることのない、いろいろなパフォーマンスを取り入れたものであった。

このとき私は、人に何かを伝えるにはそれなりのテクニックがあり、たとえその学問に精通していても講師としての技量がなければいけないのだと感じた。

確かに学生時代には、黒板に向かってボソボソつぶやいている先生やテキストを経文のように読んでいるだけの先生もいた。

ただ、これだけは付け加えたい。受講生にとって「ツライ先生」だからと言って、人間性に問題があるわけではないことを。むしろ、親切でいろいろ面倒を見ていただいた経験もある。

テレビなどの情報番組でも、みのもんた氏のような話のプロがレクチャーをし、専門家も呼んでいて難しい部分はフォローするといった形式は定着している。

そこで私は、お笑い芸人のような話のプロに講師がレクチャーし、芸人さんが先生となって教える。専門的な質問に対して講師が答える。いわば講義の分業化を提言したい。

ある意味、研究者タイプの先生は研究のエキスパートであるが、レクチャーのプロとは限らない。

しかし、有料講座の教壇に立つ以上、レクチャーのプロとしての技量を求められる。

今後とも音場はより良い講座術を考えていきたい。

  


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